実は、ITスタートアップ向けの融資制度も充実している日本政策金融公庫。創業期には基本的には資金ショートするものですから、融資が無い場合は自分の身を削ってやるしかない・・・余裕を持てなくてやりたいことができないかも・・・と考えると、心強い味方ですね。

でも、その審査担当者次第では、下りる融資も下りなかったり、といった話が、とくにWebサービス系のスタートアップの起業の場合にあるのをご存知でしょうか?

スタートアップ企業でも活用できる日本政策金融公庫

日本政策金融公庫といえば生活に密着した中小企業への融資というイメージがありますが、ITスタートアップ企業でも活用できる融資制度があります。

ITスタートアップというとVC(ベンチャーキャピタル)を連想する方も多いかもしれませんが、VCだと、よほど大きく成長するB2C向けの事業でないと相手にされません。(知り合いのVCに聞いたところでは、最近だと、VTuberとか、e-sportsがアツいそうです・・・)

もっと地に足の着いたサービスだったり、小さく始めたい、というものだったり、B2B向けだったりすると、創業期にVCや投資家からの直接投資などは期待できません。
(B2B向けの場合は、基本的にはかなりのトラックレコード=採用実績が必要、というのがVCの基本です。そうでない場合は、起業コンテストで優秀な成績を収めるとか、個人投資家の知己を得るとか、大手に最初から採用されるとか、何かしらかのきっかけが必要です。)

そんなときには、政策金融公庫の融資を検討してみるのも手なんです。

最近政策金融公庫の担当者さんに伺ったところでは、

中小企業を活性化する、という公庫の理念からいっても、IT系の起業は最近多いですし、私のような若い担当者も多いので、かなり積極的にやっていますよ

とのこと。

「ご利用は計画的に。」ではないですが、計画的に確実に融資を受けて、心にも口座にも余裕を持って、事業を大きくするためにがんばりたいですよね。

 

ITスタートアップ企業向けの融資制度

では、IT系、Webサービス系のスタートアップ企業に向けた融資制度って、そもそもどんなものがあるのか見てみましょう。

新規開業資金

新たに事業を始める事業者(おおむね事業開始後7年以内が目安)を対象とした、政策金融公庫が提供する、もっとも一般的な創業融資制度です。

これまでの実績・信用の乏しい起業家向けの融資ですので、少なくとも社長は保証人になる必要がありますが、政策公庫にしかない、メリットがあります。

  • 審査に合格できる確率が高く、1000万円近い高額融資を引き出せることもめずらしくはありません。(実際、私の友人も初めての融資で、1000万の審査が通りました!)
  • 自己資金に関する条件は、特に設定されていません。自己資金が不足していても、創業資金の融資を受けることができます。
  • 事業計画や業種・業容によって(というか担当者の判断によって)多少上下がありますが、金利は1%~3%程度と、低めに設定されます。(社長が保証人ということもありますが、これは銀行や信用金庫でも同じ話。他と比較しても条件が良い!)
  • そもそも、政策金融公庫の設立目的として、「産業の発展と雇用の創出をする」というものがありますので、融資審査は他の金融機関や制度と比較して通りやすいのです。普通の商売であれば大体OK!

 

女性、若者/シニア起業家支援資金

新規開業資金のうち、起業家にちょっと条件が付いたものです。
詳しくは 女性、若者/シニア起業家支援資金 をご覧ください。

女性・若者・シニアの起業を応援しているんですね!

 

生活衛生新企業育成資金

こちらは新規開業資金のうち、事業内容にちょっと条件がついたものです。

生活衛生関係の事業を創業する方が対象です。生活衛生関係の事業は国の後押しが必要、と考えられているんでしょうね。

 

新創業融資

新規開業資金制度の特例措置として、「無担保・無保証」という特別な好条件が設定された「新創業融資制度」があります。

創業期なのに無担保・無保証という夢のような制度なので、本体の「新規開業資金」よりもある意味知名度があります。

もちろん、夢のような条件であるからこそ、審査のハードルもとても高く金利も高めに設定されています。実際のところ、新創業融資に通った、という話は殆ど聞いたことが無い、あっても少額、というものですし、政策金融公庫の担当者に聞いても、高額融資が通せたことは殆ど無い、とのことでした。

夢のあるニンジン(笑)、くらいに思っておいて、社長の保証付き融資で真剣に頑張るのが現実的ですよね。無担保無保証にこだわって、そもそもの融資自体を受けられなくなってしまっては元も子もないですもんね。

 

資本性ローン

創業等に取り組む中小企業・小規模事業者であって、地域経済の活性化のために、一定の雇用効果が見込まれる事業、地域社会にとって不可欠な事業、技術力の高い事業などに取り組む方を対象に、スタートアップや新事業展開・海外展開・事業再生等に取り組む際の、財務体質や資金調達力の強化を目的とした融資。

利息だけ毎月払いで、借入金は最後に一括返済となっています。直近決算の業績に応じて利率が変化し、赤字の時は利率が低く抑えられ、しかもこの制度による借入金は、自己資本と見なすことができることになっていて、財務体質を向上できるというわけです。

対象となるためには、技術・ノウハウに新規性が見られること、などの条件があるので、お持ちのノウハウに自信がある&開発資金が必要、という場合は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

 

事業性の評価がポイント

スタートアップを立ち上げた起業家、つまりあなたにとって、苦労することの一つには、「自分が発案した、このイケてるビジネスを、他の人にもイケてると理解してもらうにはどうしたら良いか?」というのがあるんじゃないでしょうか?

IT系・Webサービス系というジャンル自体、その業界に居ない人にとっては、そもそもなじみが無いものです。技術的なポイントなど、いくら説明しても「ふーん・・・」という反応が返ってきますし、IT系以外の既存の業界をターゲットにして、プラットフォームビジネスで美味しく儲けようとしていても、「プラットフォーム」というビジネスモデル自体、どれだけのインパクトや優位性があるのか、その業界以外の人には分かりづらいものです。(Amazonだったり、Facebookだったり、楽天だったり、実際にはプラットフォームサービスを利用しているとしても、です。)

金融機関の方は、様々なビジネスへの融資を担当していて、どのビジネスにも一定の理解がありそうなイメージがありますが、それは裏を返せば「どのビジネスの専門家でもない、普通の人」でもありますよね。

 

新しい、革新的なサービス、それ自体が金融機関にとっては評価が難しいもの。

開発費、固定費、新規顧客開拓見込み、顧客当たりの想定売上、回収期間・・・など、事業セグメントごとに細かくシミュレーションを行い、無理のない数字を作り込んで、事業計画を数字に落とし込むのは、融資の審査にとってもちろん必須の取り組み。

ですが、事業計画はあくまで計画・想定・言い方を替えれば起業家の思い込みにすぎません。それがどれだけ実現性が高いのか、堅い見込みなのか、ゆるゆるなのか、やってみなければ誰にも分からないのは当然。

どれだけ市場性があるのか、成長性があるのか、優位性があるのか、融資の判断はまさに審査担当者のサービスの理解にかかっています

支店・担当者によって全然違う!

IT系やWebサービス系のスタートアップって、同じような場所に拠点を構えることが多いですよね?周りのコミュニティだったり、交通の便だったり、イメージだったり、理由はいろいろありますが、融資を受ける、という観点でも実はとっても重要。

例えば日本政策金融公庫で言えば、大手町や渋谷、五反田などIT系企業が多数集まる支店は新しいサービスの審査が通りやすく、逆に、地方の生活に密着した企業が多い支店では、サービスの革新性が理解できない担当者が多く、審査が通りにくいんです!!

スタートアップ企業内では日本政策金融公庫担当者ガチャとも言われていますよ(本当)

しかし、担当者や支店は選べない!

日本政策金融公庫の担当となる支店は本店所在地から割り振られるため、IT系が得意な支店を選んだり、担当者を選んだりすることができないんです!!

もちろん、ガチャに当たるケースもあります。政策金融公庫の融資の審査には通常1か月~2ヶ月掛かると言われていますが、IT系ベンチャーを経営している私の知り合いは、面談1回・1週間で融資決定となりました。あまりに早すぎて、同時並行で比較しようとしていた他の金融機関の融資依頼を中断したくらいです(笑)

 

日本政策金融公庫に強いエージェントを使おう

事業計画の資料作りは大変です。そりゃそうですよね。何を重視していて、どのような資料・数字を見ているのか、計画を審査する担当者がどんなバックグラウンド・知識・キャリアかも分かりません。最初は暗中模索です。しかも、一度融資が下りないと、少なくとも6か月間は再審査できないんですから。

そういう場合、資金調達エージェントを使えば、「日本政策金融公庫の審査に通りやすい」事業計画の作成から面談のポイントまでサポートしてくれて、しかも成果報酬。
スタートアップはサービスの開発に忙しいもの。事業計画書の試行錯誤に時間を割くより、専門のエージェントに任せるのも手です。

もちろん、自社の税理士・会計士の人脈を辿るのも良い方法です。成果報酬が無く、うまく行けば管轄支店内の良い担当者を紹介してもらうこともできます。私の友人はこの手で旨い事やりました(笑)