クラウドサービス全盛のご時世、設立直後の法人でもクレジットカードを使う場面が多いですし、できれば法人クレジットカードで経費処理をしたいところですね。

では、設立直後の法人でも法人クレジットカードは簡単に作れるのでしょうか?また、個人のクレジットカードで法人の買い物をしても経費になるのでしょうか?また、審査を通過させるポイントは、結局のところ何でしょうか?

設立後間もない法人はクレジットカードが作りにくい

信用力がない新規設立企業はクレジットカードの発行が簡単ではないと言われています。なにしろ、クレジットカードは借金ですから、信用力ゼロでは評価のしようもありませんものね。

一般的には、「設立して2年間は黒字の会社でないと発行できない」とか、「設立後3期経過していないと作れない」といわれています。設立1~2年未満の会社であると、それだけで法人カードの発行が難しくなるのです。

ちなみに法人クレジットカードと一口にいっても、ビジネスカードとコーポレートカードの2種類があります。ビジネスカードは発行枚数に上限があり限度額設定も一律なので経営者や個人事業主向け、コーポレートカードは部署や社員ごとに限度額設定ができたりと、ある程度規模の大きい企業向け、といった感じです。

ネット通販やwebサービスなど、クレジットカードが無いと不便

かといって、ネット通販やwebサービスなど、カード決済ができず毎回銀行振込や代引きなどにしていると、経理も大変だし面倒ですよね。いまは会計やチャット、メールやサーバレンタルなど、起業したときにこそ使いたい、便利なクラウドサービスも沢山ありますが、これらのほとんどはクレジットカード決済一択なので、仕方なく個人のクレジットカードを利用している方も多いのではないでしょうか?

設立後でも作りやすい法人カードはあります。

それでは、設立後1~2年が経過して業績も好調な会社でなければ法人用のクレジットカードを作れないのかというと、必ずしもそうではありません。

例えば、「楽天ビジネスカード」、「アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード」、「オリコ EX Gold for Biz」などは、他のクレジットカード会社に比べて、設立直後であっても審査が通りやすいカード会社として知られています。これらは、設立一年未満の会社であっても、条件さえ整えば問題なく新規発行できます。

個人のクレジットスコアが重要

一般的には、法人カードを作るときには「設立後1~2年経過している必要がある」、「固定電話が必要」、「会社のホームページが必要」などと言われますが、実際に私の知り合いは、法人設立直後に、固定電話や会社用ホームページなしでも法人カードを作ることができました。

クレジットカード会社は、「会社のクレジットスコア」と、「代表者個人のクレジットスコア」の両方で審査を行います。「会社のクレジットスコア」がゼロでも、「代表者個人のクレジットスコア」が良ければ審査OK、という手法を採るクレジットカード会社が出てきている、というわけです。

いまは、店舗や事務所を構えずにオンラインサービスで起業するケースもかなり増えてきています。そういったケースに対応するために、クレジットカード会社もいろいろ考えているんですね。

ちなみに、法人設立直後に作ることができるクレジットカードについては、ほぼほぼ、経営者個人の保証を付ける必要があります。楽天ビジネスカードなんかがとても典型的。楽天ビジネスカードは、楽天プレミアムカードを持っている人が発行できるサブカード、という位置づけです。もちろん、家族カードと違って、引き落とし口座は法人口座ですし、利用明細も別々に発行されますのでご安心を。

デビットカードという手もあります

楽天銀行の法人口座があれば、楽天銀行ビジネスデビットカードなど、口座から直接引き落とすことで法人カードとして使うことができます。

デビットカードの場合は口座残高=信用力なので、基本的に審査で落ちるということはありません。また、与信枠が少ない時点のように、「カード切れるかな?ダメかな?」といって心配する必要もありません。

ただし、デビット型のクレジットカードの場合、ホテルでデポジットが必要な場合など、与信枠の確保を行うようなケースに代表されるように、一部使えないサービスがありますので、その点は考慮に入れておく必要がありますね。

ちなみに、個人のクレジットカードでも税務上なんの問題もないって知ってます?

個人のクレジットカードで決済すると経費にならない?そんなこと全くありません。

会計上大事なのは「個人、法人の区分分けがきちんと出来ているか」どうか、その「用途が法人の経費に該当しているか」どうか、それだけです。

法人の支払い専用の個人カードにすればOK

かと言って、個人の買い物と法人の買い物が混ざってしまうと仕分けが大変。ミスするリスクもありますしね。

法人の経費の場合、証憑(取引の証拠となる書類(書面))を残しておかなければなりませんが、クレジットカードの利用明細は一般的には証憑として認められますので、いちいち領収書やレシートなどを取っておかなくてもOKです。

無駄な事務を省いてなるべく本業に集中したい小さな会社としては大変ラクな方法です。

証憑の保存期間は原則7年(厳密な保存期間は会社の規模と書類の種類によって異なります)ですので、法人専用のクレジットカードにしておきたいところですね。

個人のクレジットカードなら簡単に作れるので、一枚を法人用にしてしまえば、とりあえずはOKなのです。

個人カードで買い物したら、経理上の仕訳方法は?

経理上の仕訳方法は、法人のカードでも、個人のカードでも大きくは変わりません。カード明細を取引として仕分け登録したあと、支払いは法人のカードは法人口座から直接引き落とされますが、個人カードの場合は引き落とし金額を役員借入金などで処理すればいいのです。

カード払いで付いたポイントやマイルは個人で使っていいの?

実はこれはまだ国税庁からの通達が無いのでグレーゾーンなのです。

ただし、「通達が無い=国税庁・税務署の自由な解釈がまかり通る」、という、怖~~い側面がありますので、法人の経費によって獲得したポイントや優待などは、原則としては法人に属するもの、つまり、法人代表者や従業員の個人用途には使わないほうが良いもの、と思っておきましょう。

きっちりやるのであれば、法人としてカードで買った買い物のポイントが個人の利益になった分を給与等として計算するべきですが、どのようなポリシーで会計処理をするか、顧問税理士と相談して方針を決めてくださいね。

設立直後の小さな会社にとっては代表者個人の信用だけが頼り

設立直後に法人クレジットカードを作る方法、といって様々なワザがググると出てきますが、実は「代表者個人のクレジットスコア」を見ているだけ、だったりしますので、実はあまり意味が無かったりします。

起業だけではないでしょうが、何かするには「個人のクレジットスコア」だけが頼り、というのがいまの社会なんですね。

クレジット社会のアメリカだけでなく、最近では芝麻信用(セサミ・クレジット)に代表されるように、中国でもクレジットスコアがその人の社会での可能性や、人生の可能性までも左右してしまう時代になっています。おカネのある所におカネが集まるように、クレジットスコアのある人は様々なサービスや優遇が受けられ、更にスコアが上がる、という社会です。

日本もそうなりつつありますので、日ごろからスコアを気にして、スコアを育てていく心がけを持って頑張りましょう!