本業で忙しいのに、税金の心配や、社会保険まで!手も頭も余裕ないし、言いたくないけどお金もそこまで余裕ない。社会保険でトクするには、どうしたらいいの?

まずは相手を知り、どんな対抗手段がとれるのか、まとめてみました。

 

社会保険って割高なの!?

 

社会保険ってさ~、高いよね~!

あなたも経営者の集まりで、こんな声を聞いたかもしれません。
「でも、本業も忙しいし、社会保険についてよくわからない、とりあえず放置してあるけどこれでいいのかな?」という状態の会社も多いはずです。
今回は社会保険周辺のお話しを、本ブログならではのナイショの部分も込みで公開しようと思います。
多少ボリュームがあるので、以下の3記事に分けてご紹介いたします。

小さな会社が生き残るための労働保険と社会保険の話<目次>
~序章~「会社の保険、これだけは知っといて!」
~第二章~「社会保険、いつ入る?入らなかったらどうなるの?」
~最終章~「社会保険の節約、ここまではセーフ!」

 

労働保険ってなに?加入するメリットはあるの?

労災保険雇用保険を合わせて「労働保険」と言います。
会社や事業体で、「経営者以外のスタッフ」を雇っている場合は労働保険に加入することになります。

ざっくり言うと、スタッフ側(雇われている側)のメリットが多い保険です。
しかし、経営者(雇っている側)にもメリットが十分あります

 

労災保険ってなに?現場の仕事じゃなくても加入するの?

『労災保険って、ウチは建設業でもないし、関係ないでしょ?』と思われるかもしれません。
厳密に言えば、通勤中に骨折した、勤務中にフロアの移動で階段から落ちた、棚からファイルが落下して顔をケガした、これらはすべて労災です。
(労災ですので、たとえ健康保険に加入していても、保険適用外となってしまいます。)

経営者にとっても、スタッフが通勤中や勤務中に亡くなってしまった場合の補償は莫大な金額になりますので、掛け金の安い労災保険をスルーする理由はありません

掛け金の安さは飛び抜けています。
だいたいの業種において、2018年10月現在2.5~3…パーセントじゃありません。1000分率です。
保険料率が3/1000で厚い補償の労災保険は、「加入必須の保険」です。

また、小さい規模の会社の場合は”中小事業主等の特別加入”を利用し、経営者であるあなた自身も労災保険に加入しておくことをお勧めします!

 

雇用保険ってなに?失業保険なんて経営者には関係ないよね?

雇用保険は、一般的に失業保険などと言われている保険です。
『失業保険じゃ、経営者にはうまみがないよねえ?』と思われるかもしれませんが、「○○助成金」などの名称で雇用保険からお金が出るケースがけっこうあります。
雇用保険系の助成金は、要件さえ満たしていれば支給されることが多く、公募期間も長いので受給しやすいのもメリットです。

経営者の皆さんにおいては、人を雇う前には雇用保険系の助成金をチェックしてみると良いでしょう。
自分ひとりでチェックしきれない場合には、近場の社労士さんに聞いてみてください。
別途、報酬が発生しますが、向こうもプロですのでちゃんとあなたの会社がトクをするようにお膳立てしてくれます。

また、「育児休業給付」「介護休業給付」といった、雇用を安定させるための給付もあります。せっかく育てたスタッフを失ってしまい、またイチからお金と時間をかけて育てるのは大変ですよね。

スタッフに安心して働いてもらうためにも、労働保険(労災保険と雇用保険)は加入メリットがあると思います。

 

社会保険ってなに?加入するメリットはあるの?

労働保険に対し、健康保険と厚生年金を合わせて「社会保険」と言います。
社会保険料は”労使折半”、つまり会社とスタッフでほぼ半分ずつ負担します。

保険料が高い(保険料率が高い)ので、会社側から見ても頭の痛い保険ですね。
ちなみに、健康保険と厚生年金はペアで加入するものと思っていてOKです。

 

健康保険は市区町村の国民健康保険とどう違うの?

どちらも保険料は収入によって変動しますが、扶養家族の制度などを考慮すれば、社会保険の健康保険のほうがトータルの保険料が安くなるようです。
社会保険の健康保険は、会社とスタッフが半分ずつ負担しますので、スタッフ側からみれば安く感じるかもしれません。

そのスタッフの収入で扶養している家族がいれば、扶養家族として保険に加入できます。
国民健康保険には扶養家族の制度がないので、これは社会保険の健康保険のメリットと言えます。

また、社会保険の健康保険には(労災の範囲外での)病気やケガで休業中の所得を補償する制度もあります。
これも国民健康保険にはない制度です。

 

国民年金と厚生年金ってどう違うの?

会社として加入するのは(俗に社会保険と言われるのは)、厚生年金のほうです。
ざっくりですが、国民年金は「掛け金も、もらえる年金額も定額」厚生年金は「掛け金も、もらえる年金額も収入により変動」となっています。
厚生年金の保険料はかなり高率で、2018年10月時点では18.3%もあります。

 

厚生年金は二階建て!

ここで注意したいのが、厚生年金に加入している期間は国民年金にも加入しているとみなされる点です。

よく「サラリーマンは二階建て年金」といわれます。
サラリーマンは、よほどの事がないかぎり、厚生年金に加入しています。
ですので、もらえる年金も国民年金と厚生年金の二階建てとなります。

経営者の皆さんも、厚生年金に加入となれば二階建てで年金を受け取ることができます。
退職後の老齢年金以外にも、急に障害を負った場合の障害年金もありますから、加入と納付は怠らないように…とは思いますよね。

 

やっぱり、社会保険って高いだけ?!

ここまで読んでいただいて、

労働保険は労使両方にメリットがありそうだ。でも社会保険ってメリットあるの?

そう思われたかもしれません。私も、正直なところ社会保険のメリットはないと思います。

プロの声でも、知り合いの社労士さん曰く、「厚生年金は加入のメリットが薄い。取りやすいサラリーマンの厚生年金が国民年金財政を支えているようなものだ。」とのことでした。

こうして見ると、社会保険は健康保険だけ加入し、厚生年金には加入せず国民年金でやり過ごすのがベストのようですが、仕組み上、この両者はペアで加入せざるを得ません。
会社を作ったばかりのスタートアップ企業や、経営者一人の会社がなかなか社会保険に加入しようとしないのも納得ですね。

 

次の記事では、ほんとうに社会保険に加入しなければならないのか、経験談も交えてお届けしたいと思います。