小さな会社の場合、ある程度収益やお金の目処をつけてから会社を設立するため、最初から融資を受けるという感覚があまりないかもしれません。
けれども、実は創業時期にしか使えない融資制度があるのをご存知ですか?
会社設立してすぐ融資というのはありなの?
小さい会社の場合、ある程度収益やお金の目処をつけてから会社を設立するため、最初からお金を借りて…、銀行融資を受けるという感覚はあまりないかもしれません。お金を借りてまで起業するものじゃない!と考える人もいるでしょう。
けれども、実は創業時期にしか使えない融資制度があるのをご存知ですか?
いますぐにお金が必要でなくても、「いざお金が必要になったらどうする?」というパターンを考えてくことは経営者として必須のスキルです。半年後、一年後の急成長や、リスクヘッジとして経営者なら知っておくべき内容です!
創業時にしか使えない!お得な融資制度を活用!
公的金融機関である日本政策金融公庫の創業時支援の融資制度を使うと、銀行で借りるよりも借りやすく、金利もお得になるんです。
自分の事業に合った融資制度を見つけて、ぜひ活用しましょう!
どんな融資制度があるの?
では具体的にどんな融資制度があるのでしょうか。
国の公的金融機関である日本政策金融公庫の国民生活事業における、創業時に利用できる主な融資制度の5つを簡単にご紹介したいと思います。
新規開業資金
新たに事業を始める人や事業開始後おおむね7年以内の人が対象の融資制度。「雇用の創出を伴う事業を始める」、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める」などの要件を満たすことが必要で、融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)となっています。
日本政策金融公庫の創業期の資金提供では最も一般的な融資制度ですので、多くの方が該当するはずです。また、この制度は融資限度額が高く、返済期間も比較的長い(設備資金が最大20年、運転資金が最大7年)ので、積極的に活用したいですね!
こんな人にオススメ!
- ソフトウェア開発会社で働いていたエンジニアが、独立して同様のソフトウェア開発事業を行う
- 広報やマーケティング・営業・人材育成など、特定の業務の専門家として独立する
- 地元にUターンして、現地の人を雇用して新たにお店を始める
- 認定特定創業支援事業を受けて事業を始める(認定特定創業支援事業は、市区町村ごとの事業です。起業する市区町村ごとの制度はこちら)
- 東日本大震災の影響により離職し、岩手県、宮城県及び福島県内において創業する
- 平成28年熊本地震の影響により離職し、熊本県内において創業する
女性、若者/シニア起業支援資金
事業開始後おおむね7年以内の女性、35歳未満か55歳以上の若者/シニアが対象の融資制度。こちらの記事に内容をまとめてあるので、お読みになってみてくださいね。
生活衛生新企業育成基金
飲食業や美容業、ホテル・旅館業と行った生活衛生関係の事業を操業する人、事業開始後おおむね7年以内の人が対象の融資制度。設備資金を最大7億2,000万円まで融資しています。
この制度は、振興計画認定組合の組合員であるかどうかで融資条件が変わります。振興計画認定組合は、飲食関係が飲食・社交飲食・すし・麺類・料理・中華・喫茶。サービス業がクリーニング・理容・美容・公衆浴場など、全部で16業態の全国連合会があります。(例えば、カフェなどであれば、「全国社交飲食業生活衛生同業組合連合会」が該当します。)
組合員であれば融資条件が優遇されます(というより、加入前提の融資制度、と思っておくのが良いでしょう)ので、この機会に加入を検討するのも一つの手です。
こんな人にオススメ!
- 美容院を開業する!
- カフェを始める!
- バーを始める!
- 小料理屋を出したい!
新創業融資制度
新たに事業を始める人や事業を開始して間もない人(事業開始後税務申告を2期終えていない)が無担保・無保証人で利用できる制度です。創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できるかなどの要件があります。融資限度は3,000万円です。
創業間もないのに無担保・無保証人ということから想像できるように、新創業融資制度は、とても審査のハードルが高い制度で、お断りされてしまうことが多く、運よく融資を受けられる場合も、少額しか融資してもらえないことがほとんどと言われています。
無担保・無保証人というのはとーっても魅力的ですが、最初からこれを狙うのではなく、あくまで公庫の担当者の方に事業計画等を説明していく中で、可能性を一緒に探っていく、というのが現実的なところではないでしょうか。
資本性ローン
資本性ローン(挑戦支援資本強化特例制度)は、ベンチャー企業・スタートアップ企業や新事業展開・海外展開・事業再生等に取り組む際の、財務体質や資金調達力の強化を目的とした融資。
利息だけ毎月払いで、借入金は最後に一括返済となっています。直近決算の業績に応じて利率が変化し、赤字の時は利率が低く抑えられ、しかもこの制度による借入金は、自己資本と見なすことができることになっていて、財務体質を向上できるというわけです。
対象となるためには、技術・ノウハウに新規性が見られること、などの条件があるので、お持ちのノウハウに自信がある&開発資金が必要、という場合は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
こんな人にオススメ
- IT系スタートアップ企業の成長資金調達
- 新しいサービスを開発したいが、開発資金がかかり、しばらく赤字が続きそう
- ベンチャーキャピタルから出資を受けると、株が希薄化して困っている
参考:https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/riyou/sougyouji/
それぞれの融資制度の活用ポイント
どの融資制度にも言えることですが、大変なのが書類などの準備。借入申込書、直近2期分の確定申告書、決算書、勘定科目の明細書、登記簿謄本などなど…たくさんの書類が必要となります。
また、自分の事業に合わせて審査に通りやすい制度を選ぶのが重要と言えます。
そもそも、日本政策金融公庫って?
日本政策金融公庫の創業時支援についてご紹介していきましたが、そもそも日本政策金融公庫ってどんな組織なのでしょう?
まず公庫の役割ですが、一言で言うと「一般の金融機関が行う金融を補完すること」。「国の中小企業・小規模事業者政策や農林漁業政策等に基づいて、法律や予算で決められた範囲で金融機能を発揮している政策金融機関」なんです。
銀行は実績がない企業には融資をしてくれることはありません。(連続3期黒字が目安と言われています)ので、創業時の強い味方というわけです。他に創業期の資金支援と言えば、ベンチャーキャピタルなどが思い浮かびますが、それよりはずっと身近で現実的な存在と言えますね。
ただし、とはいえ金融機関ですので、融資の審査に通るのは簡単ではありません。資金の使い道を書類で明確にし、面談でしっかり答えられるようにすることが重要です。
日本政策金融公庫の融資制度を活用するときのコツは?
地域活性化への貢献や、雇用の維持・創出などで地域経済を支える事業が通りやすいため、これらの点についてアピールするのもポイントとなってきます。
また小規模事業主や個人事業主の資金不足を解決するのも政策金融公庫の大きな役割なので、「ウチは事業規模が小さいから無理では?」と思わず、相談してみるのが良いでしょう。
忙しくて資料なか作ってる暇はない!という人は、政策金融公庫の融資に特化した専門のエージェントに助けを求めるという手もありますよ。
審査には時間もかかりますし、一度審査が下りなかった案件は、6か月以上経過しないと再チャレンジすることはできないと言われています。創業期には何かと赤字が先行するものですから、余裕を持って準備したいところですね。
融資を考えるというのは、事業計画を整理するということ
金融公庫から融資を受けてみよう!と思われる方、会社設立する時にちゃんと他の人に見せる事業計画を立てていらっしゃるでしょうか?
融資を受けるためには、合理性のある事業計画が必要です。「だいたい○○○万円くらい欲しいなぁ」では審査は通らないので、あなたの事業に必要なお金を丁寧に見極めていきましょう。
融資が受けられるというのは、逆に言えばシビアなお金のプロである金融機関に事業性が認められているということなのです。